事業を継続していくためには常に変化に対応するチャレンジが大切ですが、そのためには先立つもの=資金が必要です。ものづくり補助金は数ある補助金のひとつであり、融資と違い返さなくていいお金です。しかも最大1,000万円(一般型の通常枠の上限額、ものづくり補助金の型や枠によって異なる)という大きな資金を調達することができます。
新型コロナウイルスによる経済環境の悪化や、働き方改革など社会制度改革への対応等、事業環境はますます厳しさを増しています。しかし、社会全体が厳しいときほど競合他社に差をつけるチャンスです。今こそ、経営の負担にならないお金で未来への足固めを行い、来るべき飛躍に備えてはいかがでしょうか。今年度は中小企業に対する国や地方公共団体の支援が手厚くなっており、補助金の採択率も近年になく非常に高い状況です。この機会にぜひ申請を検討されることをお勧めします。
1.目的
ものづくり補助金は、中小企業が経営革新のための設備投資等に使うことができる補助金です。国は中小企業の革新的かつ実現性のある事業への取組を支援して、今後の厳しい環境変化や制度変更に対応できるようにすることを目的としています。
2.補助金の特徴
補助金は融資と異なり、国や地方公共団体が原則として返済不要なお金を支給する制度です。しかし、公共の利益を守るため、厳密なルールが定められています。ものづくり補助金も同様で、支給金額や用途に関して特に注意すべきポイントがあります。

3.ものづくり補助金の対象となる事業
ものづくり補助金の補助対象となる事業は、図のいずれかのタイプである必要があります。単なる既存事業の延長線上ではない、革新的かつ実現性のある事業への取組であることが求められています。ものづくり、というと製造業をイメージしますが、サービス業でも申請できます。

4.補助の対象となる事業者
対象は中小企業者です。なお、企業組合や協業組合、商工組合などの組合や、特定非営利法人も対象となる場合がありますが、ここでは割愛させていただきます。資本金または従業員数のどちらかが、表の数字以下であれば対象となります。

ただし次の場合には、資本金または従業員数の条件を満たしていても対象外となります。

5.過去の応募・採択数
これまでのものづくり補助金の応募・採択数および採択率は、図の通りです。採択率は年度により上下がありますが、平成28年まではおおよそ40%程度となっています。平成27年度以降、採択率は上昇傾向にあり直近の令和元年度1次締切では過去最高の採択率、62.5%となりました。
新型コロナウイルスの影響を受け、厳しい事業環境に置かれている中小企業の支援に取り組む国の姿勢も、高い採択率に影響していると推測されます。今後も同じ傾向が続く可能性が十分に考えられ、積極的に応募に取り組まれることをお勧めします。

6.補助金の類型と補助率
ものづくり補助金には、3つのタイプ=事業類型があります。各類型の条件を満たさないと採択されないので、みなさまの事業活動に適したタイプを選んで申請してください。

新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために、前向きな投資を行う事業者の支援を目的として、一般型のなかに特別枠が新たに設けられました。条件を満たせば、補助率アップや広告宣伝費が補助金の対象に含まれるなど、多くのメリットがあります。さらに特別枠で不採択となっても、通常枠で再度審査が行われ優先的に採択されます。このように審査の上でも非常に有効なので、条件が合えば積極的に特別枠で申請しましょう。

特別枠で申請するには、補助金の対象経費の6分の1以上が、次の3つのいずれかに該当する必要があります。新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えるための投資であることが前提です。

特別枠で採択された事業者の事業再開を後押しするため、別枠の補助を上乗せする事業再開枠も用意されています。上限50万円で、マスクなど感染防止対策の経費も補助金の対象となります。

7.事業計画に求められるもの
審査で採択されると、所定の手続きを経て交付が決定します。交付決定日から10カ月以内(かつ採択発表日から12カ月以内)に設備の発注~納入~検収~支払まで、すべての手続きが完了する必要があります。原則として延長はありません。

申請時に作成する事業計画では、付加価値額・給与支給総額・事業場内最低賃金を上昇させることが求められます。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を合計したものです。給与支給総額とは、非常勤を含む全従業員や役員に支払った給与で、福利厚生費や法定福利費、退職金は除きます。

条件を満たなさかった場合の返還規程もあります。図は3年計画の例になります。なお特別枠で採択された場合は、事業計画の条件達成が1年猶予されます。例えば3年計画の場合、2~4年目に達成状況の評価を行います。

8.今年のスケジュール
令和2年6月現在の、今年の公募と採択時期の予定は次の通りです。まだ複数回の公募も残っていますので、応募検討の参考にしてください。

以上がものづくり補助金の概要になります。他にも、そもそも革新的な事業ってどの程度?、申請書作成の基本のキ、より採択に近づく加点項目、新型コロナウイルスによる特別枠など、さらに詳しい情報を紹介していますのでご覧ください。 それでもやはりちょっと不安という方は、お気軽にお問い合せください。経験豊富な中小企業診断士が、課題の抽出から事業計画の立案、補助金の申請、各種ご相談まで、経営の専門家としてご支援させていただきます。