特別枠は、新型コロナウイルスの影響により深刻なダメージを負った中小企業者を支援するために、今年度新たに設けられました。文字通り、通常の補助の条件と比べて「特別」有利な条件での支援「枠」です。以下では、有利な6つのポイントについて説明します。
1.補助率のアップ
ものづくり補助金の補助上限額は1,000万円です。しかし、1,000万円の設備投資をする場合、1,000万円全額の補助を受けることはできません。補助を受けることができるのは投資額の一部であり、その割合が補助率です。
通常枠の補助率1/2では、投資額1,000万円のうち補助を受けられるのは500万円です。一方、特別枠では補助率が投資額の2/3または3/4まで引き上げられるため、補助金額は667万円、または750万円と大幅に増加します。

補助金の対象経費の1/6以上が、次のいずれかにあてはまる取組であることが必要です。A、B、Cの類型によって補助率が異なり、Aは2/3、BとCは3/4になります。

2.営業経費を計上できる
通常枠では対象とならない広告宣伝・販売促進費を、特別枠では計上することができます。上限額は補助対象経費総額の1/3です。広告宣伝・販売促進にかかる費用を、ものづくり補助金で補うことができるのは大きなメリットです。

3.感染防止対策費を上積み
特別枠の採択者が業種別のガイドラインに基づいて感染予防に取り組む場合、別枠(事業再開枠)で上限50万円の補助が上乗せされます。業種別ガイドラインは、内閣が公表している業種ごとの感染拡大予防対策です。
39県で緊急事態宣言が解除された、5月12日以降に発生した経費が補助の対象になります。補助率は10/10で、つまりかかった経費の全額が支給されます。

4.事前承認
特別枠の申請者は、事前の承認を受けることにより、交付決定前の経費を補助金の対象とすることができます。ただし緊急的な投資の必要性が認められなければ、承認を受けられません。

5.事業計画の達成要件の緩和
通常枠では補助事業を実施した最初の年度から、付加価値額や賃金の引上げなど目標値の達成が求められます。しかし特別枠の事業者は、補助事業実施年度に感染症の影響を受ける恐れがあるため、目標の達成を1年間据え置きし、翌年度から3~5年の間に目標値を達成する計画とすることができます。

6.通常枠で優先的に採択
仮に特別枠で採択されなかった場合でも、通常枠として改めて再審査が行われます。通常枠の審査では、特別枠の申請者として加点が得られるため有利になります。特別枠の申請者は、新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資等に取り組む事業者として見なされるためです。ただし、補助率は通常枠の1/2です。
特別枠が、いかに特別な措置であるかをおわかりいただけたでしょうか。長期にわたる緊急事態宣言が続き、多くの事業者のみなさまが何かしらの影響を受けたことと思われます。新型コロナウイルスの影響を乗り越えるため、また業績回復への足掛かりとして、ぜひ特別枠を活用してください。