ものづくり補助金の申請を、審査の肝となる事業計画書を中心に、申請書作成の基本の「キ」として簡単にまとめました。
1.申請は電子申請のみ
ものづくり補助金の申請には、GビズIDプライムのアカウント取得が必要です。GビズIDは、一つのID、パスワードでさまざまな行政サービスが利用できるオンラインシステムです。申請の締切が近づくとIDの取得に時間がかかりますので、アカウントをお持ちでない方は、取得の手続を早急に行ってください。
ものづくり補助金の申請は、電子申請のみ受け付けています。Webページ上で指示に従って必要事項を入力し、各種のファイルを添付して申請を行います。
2.たくさんの入力項目がある
ものづくり補助金総合サイトにある参考様式1で、電子申請システムに入力する内容がわかります。あらかじめ必要事項を準備しておくと、システムに入力する際、コピーペーストしていくだけでスムーズに作業が進みます。多くの情報が求められるので、前もって準備しておくことをお勧めします。
(1)応募者の概要等
- 応募者の概要 … 商号や名称、代表者、所在地、連絡先、補助金担当者など
- 株主等一覧 … 氏名や所在地、出資比率など
- 役員一覧 … 会社名や役職、氏名、生年月日など
- 経営状況 … 直近2期分の売上高、経常利益、当期利益
(2)事業内容
- 申請する補助金の類型
- 事業計画名(30字程度)、補助金の対象となる事業の業種
- 事業計画の概要(100字程度)、導入予定の機械装置の名称
- 事業分野の選択
新商品の開発、新たな生産方式、新サービスの開発、新たな提供方式の中から選択 - クラウドファンディングの実績、環境に配慮したビジネスの内容
- 補助事業の具体的内容
その3:会社全体の事業計画 … 3~5年の数値計画を入力
(3)これまでに交付を受けた補助金または委託費の実績説明
実施期間や金額、今回申請する事業とは異なることの説明、その成果・実績
(4)経費明細表
申請する経費の内訳、資金調達方法
3.ファイルを添付するもの
(1)事業計画書
補助事業の具体的内容
その1:補助事業の具体的取組内容
その2:将来の展望 ものづくり補助金の申請の中で一番重要で、審査の肝となるものです。書式は自由ですが、A4で10ページ程度とページ数が決められています。具体的取組内容、将来の展望を記載します。12の審査項目があり、この項目を満たして、具体的にかつ簡潔に書かれていないと採択されません。記載する際の注意事項や審査項目については、次項で詳しくお伝えします。
(2)賃上げ計画の証明書
直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる計画に従業員が合意していることがわかる書面です。所定の書式が用意されています。
(3)決算書(直近2年分)
貸借対照表、損益計算書、販売管理費明細、個別注記表、製造原価報告書
(4)その他加点に必要な資料
- 成長性加点:経営革新計画承認書(取得予定でも可、当該計画の写しを含む)
- 政策加点 :開業届または履歴事項全部証明書(創業・第二創業の場合)
- 災害等加点:事業継続力強化計画認定書(取得予定でも可、当該計画の写しを含む)
- 賃上げ加点:特定適用事業所該当通知書(被用者保険の適用拡大の場合)
4.一番の難関、事業計画書
ものづくり補助金は、毎年数万の申請があります。審査時は短時間で大量の書類に目を通す必要があるため、こちらの意図が正しく理解されるには「審査項目を網羅している」「具体的で」「簡潔な」計画書でなければなりません。
事業計画書は、その1、その2、その3の三つに分けて作成する必要があります。その1では、会社の沿革から課題設定、その解決策を、しっかりとした論理性と具体性をもって記載します。その2は、その1の補助事業を、自社の新たな事業として今後どのように成長させるのか?想定ユーザー、想定市場、マーケティング方法など、具体的に、数値目標とともに記載する必要があります。その3はその2の内容を踏まえて、全社の事業計画を数値で提示し、算出根拠も明示します。いずれも必要に応じて図表や写真などを用い、具体的かつ詳細に記載することが求められます。
5.審査項目は12項目、革新性が最も重要
審査項目を基準に審査が行われます。事業計画書を書く際に、審査項目を常に意識しておくことが非常に大切です。
審査項目を網羅することで、採択の確率が高くなります。(1)技術面の①革新的な開発かどうかが、審査項目のなかで最も重視されます。そもそもどの程度で革新的といえるのかは、こちらでご確認ください。
6.加点項目で採択率をアップ
経営革新計画や事業継続力強化計画、賃上げ、小規模事業者など、要件を満たす書類を提出することで最大6つの審査加点が得られます。審査項目に沿う事業計画を作成するのはもちろんのこと、ひとつでも多くの加点を得ることでより採択に近づきます。
ものづくり補助金の申請には、必要な入力項目と添付書類が多岐にわたります。GビズIDの取得、事業計画書の作成、各種加点項目を考慮して、早め早めに準備を進めましょう。